- 1.海江田三郎 ★ 投稿日:2015/10/01(木) 09:42:04.48 ID:???.net
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http://sharescafe.net/46434974-20151001.html
9月30日より改正労働者派遣法が施行されたが、私は改正法に対して懸念していることがある。
それは、派遣期間の制限が「骨抜き」になってしまっていないかということだ。
■派遣元との無期契約で無期限派遣が可能に
改正前の労働者派遣法では、専門性が高い26種類の業務に限って派遣期間を無期限とすることを認め、
それ以外の一般業務に関しては、いかなる形であれ、同一業務への3年を超える派遣を認めていなかった。
これに対し、今回の改正労働者派遣法では、1人の派遣労働者が同一業務に派遣できる期間を業務の種類に関係なく
3年とした上で、そのかわり「派遣元と無期雇用契約を結んだ場合は、派遣期間は無期限でもよい」という例外規定を新たに定めた。
私は、ここに改正労働者派遣法の問題があるのではないかと懸念している。
というのも、改正前の労働者派遣法では、26業務に対して無期限の派遣を認めていたのは、
専門性の高い業務であれば待遇も適切なものになり、本人も自らのスキルを生かして自律的に働けるであろうという前提があった。
これに対し、改正労働者派遣法では、考え方ががらりと変わって、派遣元と無期雇用契約を結んだならば、
いかなる業種であれ雇用が安定するはずだから、派遣期間は無期限でも良いだろう、という前提に立っている。
しかしながら、私は次の3つの点でその考え方には疑問を感じている。
■無期雇用契約で低賃金派遣が固定化も
第1は、無期雇用契約と正社員雇用契約は別物だということである。
無期契約とは、単に雇用期間の定めが無いということを言っているだけに過ぎず、賞与や退職金などが正社員と同等になるわけではない。
無期契約は、雇用期間そのものは安定するかもしれないが、逆にデメリットとしては、その他の労働条件も固定化しがちということである。
有期契約であれば、契約更新の際に労働条件の交渉を多少なりともする余地があるが、無期契約の場合は、そのような機会もないまま、
固定された低賃金で半永久的に働かなければならないということにもなりかねない。
■無期契約でも整理解雇となる可能性第2は、現在の判例基準に照らし合わせると、たとえ無期契約を結んでいたとしても、
派遣先の契約解除と同時に、労働者も整理解雇の対象となってしまう可能性があるということだ。
我が国においては、会社が労働者を解雇することは難しいと言われているが、整理解雇について裁判所は次のような基準を定めており、
一般的には「整理解雇の4要件」と呼ばれている。
1.人員整理の必要性
2.解雇回避義務の履行
3.解雇者選定の合理性
4.手続の妥当性
つまり、この基準に照らし合わせれば、会社が「あなたを、○○社に長期に渡って派遣したいと思い、
無期雇用で採用したのですが、○○社との派遣契約が解除されてしまいました。あなたの次の派遣先を一生懸命探したのですが、
見つけることができませんでした。ゴメンナサイ。」ということになったら、ズバリ整理解雇の要件を満たしてしまうことである。
したがって、無期雇用雇用契約の締結が、派遣労働者を守ることにはならないのではないかということである。
■解雇の金銭解決制度との関係
第3は、解雇の金銭解決制度の導入の可能性である。
政府内では解雇の金銭解決制度の導入が検討されている。
これは、裁判で不当解雇が確認され、労働者勝訴となた場合でも、復職ではなく、会社が金銭を支払うことで
雇用関係を解消できるという制度である。
現時点の法案では、金銭解決は労働者側からしか申し出ることができない、ということになっているようであるが、
海外の同様の制度を見ると、多くの国が使用者側からも金銭解決を申し出ることが認めており、我が国においても、
早かれ遅かれ、使用者側からの解雇の金銭解決も認められるようになる可能性が高い。 - 2.海江田三郎 ★ 投稿日:2015/10/01(木) 09:42:13.32 ID:???.net
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解雇の金銭解決制度が実現したならば、無期雇用契約は、もはや派遣労働者を守る手段としては、
完全に的違いということになってしまうであろう。
解雇の金銭解決制度は、政府の優先順位付けの中で、現在のところ議論が後回しになっているが、もしかすると、
改正労働者派遣法を可決するために、解雇の金銭解決制度を先送りにしたのでははいかといううがった見方も多少なりとも私はしてしまう。
このように、派遣元と無期雇用契約を結んだとしても、それで派遣労働者の労働条件が良くなるわけではないし、
逆に契約を打ち切られるときは容易に打ち切られてしまう、「都合の良い労働力」になってしまう可能性があるというわけだ。
■低賃金労働者の供給元になる可能性も
さらに掘り下げると、次のようなケースもありうる。
賃金規程を作成し、賃金テーブルも決まっているような会社では、個別の雇用契約を結んだとしても、
賃金規程がその会社の最低基準として全ての労働者に適用されるため、賃金テーブル以下の条件では働かせることができない。
そこで、別会社を設立して、無期雇用契約を結んだ上で、実務を行う会社に派遣する形をとることで、
理論上は、条件を切り下げつつも、直接雇用したに近い姿を実現することができる。
ところが、特定の会社だけに対し、人材供給を行う「専ら派遣」は法律で禁止されていて、
とくに同一グループ内での派遣に対しては、80%を超えてはならないという制限が設けられていることが企業側にとってはネックである。
しかしながら、この制限をクリアすることは可能で、複数の企業が共同で人材バンク的な派遣会社を立ち上げたり、
息のかかった取引先などに別会社を作らせてそこから人材供給を受けたりというようなことが、合法的な迂回策として考えらるであろう。
さらには、今回の労働者派遣法の改正で、簡易的な手続で始められた特定労働者派遣が廃止になり、
一般労働者派遣に統合される流れの中で、一般労働者派遣で求められる資本要件(派遣事業を行う
1事業所毎に2000万円以上の資産があること等)をクリアできず、中小派遣会社が淘汰されると予想されている。
そこで、淘汰された特定派遣事業者を吸収する受け皿になることで「専ら派遣」を回避しながら、
自社への人材供給を行うというビジネスモデルを作ることもできるであろう。
■結び
結局、いくら「働き方の多様化」などオブラードな言葉で包んだとしても、派遣という働き方に対し、
企業が「労務コストを下げるため」という認識がある以上、多くの派遣労働者は恵まれない立場にならざるを得ない。
であるから、そもそも論として、専門性の高い業種だけでなく、あらゆる業種に対して派遣労働を解禁してしまったこと
自体が正しかったのかを、原点に立ち返り見直すべきなのかもしれない。 - 3.名刺は切らしておりまして 投稿日:2015/10/01(木) 09:44:58.06 ID:i22fS4ux.net
- これからは派遣労働者から億万長者が続出する時代になります。
【労働】あらゆる業種に派遣労働を解禁・・・改正派遣法が低賃金派遣労働者の温床になるって本当?
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